就活ノベル
| 「先生!」 | |
| 「ど、どうした!? いつも通りいきるを引きずっ……引き連れて!」 | |
| 「ES(エントリーシート)で落とされちゃいました……」 | |
| 「ほう……ESはちゃんと書いたのか?」 | |
| 「はい、カンペキだったはずなんですけど……」 | |
| 「………………」 | |
| 「そうか? じゃあ見せてくれ」 | |
| 「はい……」 | |
| 「………………(確認中)」 | |
| 「………………ほほう。」 | |
| 「なんだこの問題だらけのESは。」 | |
| 「え? どこかおかしいですか?」 | |
| 「残念ながらおかしいところだらけだな。ここまで酷いのは初めてだ」 | |
| 「ええ~……」 | |
| 「まず、元号! 平成を『H』と省略しない!」 | |
| 「平成、って画数多いから面倒くさくて……」 | |
| 「いや、そんな複雑な字じゃないだろ」 | |
| 「あと住所も省略しない! ちゃんと何丁目、何番地と正確に書け」 | |
| 「え、駄目なんですか?」 | |
| 「ああ、正確に仕事をこなせる人物か、というのもESで判断しているからな。だから誤字や脱字には細心の注意を払わなければならない」 | |
| 「………………」 | |
| (目を逸らしている……思い当るところが多いのか) | |
| 「それと! ☆や♪、ハートマークなんてもう論外だな。ふざけているのか」 | |
| 「ええー、可愛いじゃないですか!」 | |
| 「そういう問題ではない」 | |
| 「……他に何か、ESを書くときに気を付けることってありますか?」 | |
| 「そうだな……文中の言葉遣いも統一すべきだ。『ですます調』と『である調』が混在しているのもあまり良くは見えないな」 | |
| 「あ~……それもやらかしてる」 | |
| 「悪い見本として書かれたかのようなESだな……」 | |
| 「そして文体以前に、しずかさんは質問に正しく答えられていないな。仕事中、ちゃんとコミュニケーションが取れるかを疑われるぞ」 | |
| 「あ、しずかは元々コミュニケーション取るのが下手です、彼女の会話はキャッチボールじゃなくて1000本ノックなんて揶揄されるくらいですから」 | |
| 「なるほど……一方的なのか」 | |
| 「理解されたぁ!?」 | |
| 「ま、まあ頑張って克服していけばいいさ! あとはそうだな……言うまでもないことだが、どこにでも使えそうな記述にならないよう気を付けることだな。何故その業種で、その企業を志望しているのかをちゃんと書くべきだ。そしてそれが書けるように、企業分析もしっかりしておくんだぞ?」 | |
| 「はい」 | |
| 「はーい」 | |
| 「よし、じゃあ、今日はここまで!」 | |
| 「ありがとうございました!」 |
まとめ
エントリーシートを書く時の、主な注意点。
- 生年月日を書く場合、元号は省略しない。ちゃんと「平成」と書く。「H」と略してはいけない。
- 職歴にアルバイトは含まれないため、書いてはいけない。
- 誤字脱字が多いと仕事も同様に雑でミスも多いと判断されてしまう。提出する前に、しっかり確認を!
- 応募書類は全てコピーをとっておくのが良い。特にESは後の面接でも話題に使われるため、何を書いたかしっかり認識しておこう。
- 一つのシートに「ですます調」「である調」を混在させない。
- 固有名詞以外は算用数字を使用する。
- 住所は必ず、省略せずに記入する(例×1-23→○1丁目23番地)
- 印鑑は、ESを書く最初に、斜めにならないよう真っ直ぐに、はっきりと押す。
- ~性や~力、~的のような抽象的な表現はさける。
- ESの質問には正しく答えること。コミュニケーション能力を疑われかねない。
- どこにでも使えてしまうESになっていないか、なぜその業種の、企業を志望しているかをちゃんと書く。


