講師伝
カウンセリングで苦労したこと1
H.Nも、カウンセリングをしていて苦労したことがある。
一つは、つい見た目だけで、この人がこういう人間だろうと決め付けてしまうことだった。
もちろん、視覚的な情報というのは最初に認識するもので、そこから相手の情報を仮説立てるのは普通のことである。
しかし、立てた仮説を絶対の真実として、その辻褄合わせをするようなカウンセリングをしてしまうことがあったという。
つまり自分の間違いを認めようとしなかったのだ。
これでは駄目だと思ったH.Nは、相手の話や意見を、なるべく先入観を持たずに聞くということにチカラを入れるようになった。
いわゆる傾聴である。
傾聴を意識しているうちに、それが実は積極的な行為であることもわかってきた。
相手の話を聴く、というとどうしても受け身なイメージがあるが、傾聴の本質は相手から話を引き出すことである。
つまりその人が考え付いていなかった領域まで引き出させるということが、真の意味で相手から話を聞くということなのだ。
その苦労から、H.Nは本当の意味で相手の話を聞きだすことの大切さを知ったのである。