| 「熱血先生!」 |
| 「おお、二人揃ってどうしたんだ?」 |
| 「僕はただの付き添いです」 |
| 「聞いてくださいよ、先生! あたし、何をしたいかがわからないんです!」 |
| 「落ち着けしずか、端折り過ぎてて意味がわからん」 |
| 「? 就活の話……だな? ということは、志望する業種で迷っているのか!」 |
| 「はい!」 |
| 「今のでわかったんですか!?」 |
| 「ああ、あまり文章を長くすると、制作の人に怒られるんでな」 |
| 「??」 |
| 「いや、なんでもない。自分のやりたいことか……それは確かに、就職活動をする上では大事なことだな。うむ、良いことに気がついた!」 |
| 「えへへ」 |
| 「待てしずか、褒められたからって満足して帰ろうとするな。まだ本題に触れてない」 |
| 「あ」 |
| 「おお!」 |
| 「先生もですか!」 |
| 「いやー、すまんすまん、ハッハッハ! だが志望する企業を探す指針として、自分のやりたいことを考えるというのは悪くない。もっとも、君らくらいの歳でやりたいことが明確な人間の方が実際は稀だ」 |
| 「じゃあ、どうするのがいいんですか?」 |
| 「そうだな……方法は2つある。1つは自分の良いところを見極めて、それを伸ばしにいくやり方だ」 |
| 「あたしの良いところっていえば……可愛いところ?」 |
| 「鏡を見直せ。」 |
| 「ひどっ!?」 |
| 「ハッハッハ!」 |
| 「先生もそこで笑わないでください!」 |
| 「ああ、すまんすまん。しかし自分の長所を分析してみる、というのは大事なことだ」 |
| 「なるほど……もう1つは?」 |
| 「もう1つは、普段空想していることから導き出す、ということだ」 |
| 「素敵な服を着て、街を歩きたいでーす♪」 |
| 「おいしずか」 |
| 「いや、そういうのでいいんだ。つまりしずかさんは、服に興味があるわけだろう?」 |
| 「? あ、はい」 |
| 「だったら、服に携われる仕事という点から考えてみればいい。例えば、服の製造と販売、どっちに興味がある?」 |
| 「……販売かなあ。友達と服買いに行くとき、色々着せて楽しんでいますし」 |
| 「…………」 |
| 「そう、そういう考え方だ! いきる君がげんなりしているのが少し気になるが、そう考えて自分の進路を選んでいけばいい! さらに細かく考えていこうと思うならまた、長所について考えてもいいだろうな。特に君たちの場合はお互いの事を良く知ってそうだし、互いの良いところを語り合ってもいいんじゃないか?」 |
| 「「べ、別に僕(あたし)たち、そんな関係じゃないですから!」」 |