熱血!気味?キャリコン父さん ~~~インターンシップ編~~~
【第8話】『インターンシップ9日目の夜』
登場人物 | キャリコン父さん:キャリアコンサルタントとして若者~中高年を支援している宏の父。 キャリ父と表記。 宏:キャリコン父さんの長男。現在、大学3年生。 |
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第7話から続く・・・
キャリ父 | 明日で最後だけど、どうだい? |
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宏 | 今日は、最終日に発表する予定のプレゼン資料のレビューとフィードバックをしてもらったよ。 |
キャリ父 | なるほど。それでどうだった? |
宏 | うーん、そうだね、“インターンシップに来る前と来た後だとどう変わったのか?”を書くように言われた。 |
キャリ父 | なにー?・・・・・(゜_゜)目が点だぜー・・宏!・・。 |
宏 | ??? |
キャリ父 | だってさ、思い出してよ。インターンシップ5日目の夜のこと。“まずい、まずいなあ・・。これじゃ、インターンシップの成果は半分だよ、半分。”って言ったよね。 |
宏 | あー・・・。 |
キャリ父 | 多くのインターンシップ生が、ほとんど”学び”どまりなんだって言ったよね。 |
宏 | うん。 |
キャリ父 | つまり学びをこれからの学生生活や人生にどう活かしていくのか、っていうのを話して欲しいって。 |
宏 | そうだったね。でもなー、忘れてたわけじゃなくって、書こうとしたんだけど、なかなかそれが出てこなくって、・・・それで、いつの間にかうやむやになったって感じなんだよね。 |
キャリ父 | うーん、難しかったってことかな? |
宏 | そう・・・だね。 |
キャリ父 | なるほど。じゃ、いまちょっとできているところまででいいからプレゼン資料送ってくれる? |
宏 | OK。・・・いま送った。 |
キャリ父 | THANK YOU。・・・おーよくできてるな、スライドのデザインがいいのかな?美しい、というのが第一印象だね。それに緻密さも感じる。しっかりインターンシップをやっていたことが良くわかるよ。“驚いた”とか“本当にすごい”などの気持ちを表す言葉も適度に入っているし、うん、“学び”もしっかりしている、すごいじゃないか、すばらしい! |
宏 | ありがとう。 |
キャリ父 | 本当に、後は活かし方を加えることだけだね。 |
宏 | 担当者の方は、インターンシップの前後で自分がどう変わったのかを書くように言ってたけど、それでいいのかな? |
キャリ父 | 学生生活やこれからへどう活かすのかについては、宏も言ってたように難しいようだから、まずは、どう変わったのかを考えてみたらいいと思うね。変化は客観的に自分のことを見つめなければわからないことだからね。何か思いつくことはある? |
宏 | そうだなあ・・・。 |
キャリ父 | 例えば“学び”の中で、“技術力というのは、最新技術を駆使していく力のことだ、とばかり思っていたが、求められるものに応じる力、も重要な技術力なのだということを学んだ”というのがあるよね。この学びに気づいて、宏はどう変化したと思う? |
宏 | いやーこれはけっこう衝撃的だったんだよね。 |
キャリ父 | そうか・・・実にすばらしいことを、常務だったよね、宏に教えてくれたと思うね。感謝だ。 |
宏 | そうなんだよ、なんて言うか、お客様の求めるものに応じることが先決であって、技術力は何も新しいものだけを言うのではなく、今ある技術を駆使することも技術力である、という、なんか、視野が倍に広がったという感じだよね。 |
キャリ父 | 技術とは最新のことと思いこんでいたが、既存技術の応用も技術である、という2つの定義が宏にはできた、ということだね。 |
宏 | そうなんだ。・・・つまり、変化としては技術力に関する視野が倍になった、っていう感じかな。 |
キャリ父 | そうだね。このことはこの会社にインターンシップに来たからわかったことであり、質問したからわかったことだよね。つまり、動くことの重要性、質問することの重要性を実践の中で痛感したこと、これは大きいよね。・・・一般的、抽象的に言うとね。 |
宏 | まあ、そうだね。 |
キャリ父 | 変化としては、技術力に関する視野が倍になった、このことは自分の社会での活かし方について幅を広げ自信や勇気を与えてくれた、ということだね。 |
宏 | そう、そうなんだよ。 |
キャリ父 | いやー実にすばらしい!本当にすばらしい気づきだ。 |
宏 | ただ単に視野が広がった、という変化だけではなく、自信や勇気を与えてくれたことは確かだね。 |
キャリ父 | うん。視野が広がった、だけを伝えるのではなく、自信や勇気を与えてくれた、と“変化”について書き加えることで、相手はどう思うだろうね? |
宏 | 僕がインターンシップ生にそう言われたら、視野が倍になった、ということだけでもうれしいのに、・・・だから、何かすっごいことをやったって感じになるね。感動しちゃうかもしれない。 |
キャリ父 | うんうん。そこなんだ。視野が倍になった、これはこれまで経験したことがないことを体験したわけだから、視野は必ず広がる。よく学生が使う言葉でもあるんだ。そこに自信や勇気という気持ちを、積極的な気持ちを与えてくれた、と伝えれば、相手のハート、心に届くんだ。 |
宏 | いやー、すごいね! |
キャリ父 | 父さんが以前勤めていた会社の社長がね、“人生は感動の歴史でつづれ”って教えてくれたんだ。すばらしい経営者だったと父さんは思ってる。自分が感動していれば近くにいる他人も感動する。他人が感動すれば自分も感動する。感動できるまでがんばろうじゃないか、やったことに感動しようじゃないか、この純粋な気持ちが自分を人を動かすんじゃないかな。 |
宏 | すげー。気持ちを伝えることって大切なんだなあ。 |
キャリ父 | そうだね。ぜひ自信と勇気、伝えてあげてほしいな。 |
宏 | もちろん、わかった。 |
キャリ父 | うん。それでさっき、一般的・抽象的に言うと、動くことの重要性、質問することの重要性を実践の中で痛感した、という話をしたけど覚えてる? |
宏 | うん、覚えてる。 |
キャリ父 | これがね、これからの学生生活や人生への活かし方につながるんだよね。 |
宏 | インターンシップに来たことや質問したという行動があったから・・・痛感したということだよね。 |
キャリ父 | そうそう。視野を倍にしてくれた、それは行動つまり体験・やってみることの重要性やわからないこと・あいまいなことは恥ずかしがらず質問することの大切さを教えてくれたので、これからのマジック部の活動や就活で○○のように活かしていきたい、って感じで書くといいんだ。 |
宏 | なるほど、変化がこうつながっていくんだね。 |
キャリ父 | 視野が倍になった、という変化の根本的な理由を考えていけばいいんだよね。 |
宏 | なるほどな。 |
キャリ父 | それに、“プリント基板の製造工程を実際にみて、”隠れた工夫・工程”が多くあり、これこそが、品質の差となって現れる一つのポイントだということを学んだ”とも書いてあったね。 |
宏 | そうだね。 |
キャリ父 | この学びに気づいて宏はどう変化した? |
宏 | うーん、やっぱり、よく調べてみないといけないな、と思った。 |
キャリ父 | なるほど。そうだよね。 |
宏 | だから、見える部分だけではないところにも重要なところがある、・・・変化としては・・・今までは見えない部分にはあまり注意をしてこなかったけれど、これからは大切なものが潜んでいる可能性があるから注意していこうって感じかな。 |
キャリ父 | そうだね、注意しないとね。その注意をしないといけない理由は、なんだろう? |
宏 | それは・・・、さっきも言った通り大切なことを見逃す可能性があるからだよね。 |
キャリ父 | そうだね。ということは、今後のへの活かし方は? |
宏 | 見やすい表面上のことだけでなく、見えない裏側の部分にも注意して・・・。 |
キャリ父 | そうそう、具体的には?例えばマジック部でどう活用する? |
宏 | うーん、そうだね、どうしてもマジックをする“人”に目がいくんだけど、道具にも注意をしておかないとステージで失敗するかもね。 |
キャリ父 | そうそう。そう考えると道具の手入れって大事だよね。マジック部の部長としてマネジメントの観点からから活用できることはないかな? |
宏 | そうだな・・・、マジックできる人を育てなくてはならないんだけど、なかなか人前でできるようになるまで育てるのが難しいんだよね。 |
キャリ父 | 育てる方法はあるのかい? |
宏 | まあ、一応基礎があるからね。それは順番があるよ。 |
キャリ父 | なるほど。一応マニュアルのようなものはあるわけだね。じゃあ、それが見える部分だと考えると・・・見えない部分は? |
宏 | 接し方とか指導の仕方、その人の特徴や性格の考慮、かな? |
キャリ父 | そうだね。マニュアルがあっても人の育成はそう簡単にはいかないよね。それは、心が影響しているからだね。 |
宏 | つまり見えにくいメンバーの気持ちにこそ配慮すべきだし、しっかり観察しておくことが大切だということだね。 |
キャリ父 | そうだね。だけど行動は気持ちの表れでもあるわけだから、しっかり行動を見ておくことも必要だね。 |
宏 | 気持ちの大切さか。昨日の僕のように勝手に自分で落ち込んでいるのかもしれないしね。 |
キャリ父 | そうなんだよ。だからメンバーの話にはしっかり耳を傾けないとね。 |
宏 | うーん、深いなあ。 |
キャリ父 | だけどさ、いい体験してるじゃないか。こんなにたくさんのことを宏は学んでいるんだから。この企業に感謝しなくっちゃ。 |
宏 | うん、それはそうだけど、父さんからのフィードバックがなければどうなっていたんだろうと思うと、なんか恐ろしいよ。どれだけ学びの少ないインターンシップになっていたか。 |
キャリ父 | いやー、そういってもらえるとうれしいね。やりがいも感じるしね。THANK YOU!それじゃ、明日のプレゼン頑張ってな! |
宏 | うん、わかった。じゃお休み。 |
キャリ父 | お休み。 |
・・・・・・・
担当者に指示された変化も組み入れ、最終日のプレゼンに挑んだ宏は、無事にインターンシップを終えることができた。企業からの評価はどうだったのか?それは敢えてここでは伏せておきたい。
なぜなら、キャリコン父さんは結果にはあまり関心がないからだ。体験中のことについてレビューとフィードバックをして、活かし方をはじめとする多くの気づきを与える、体験をしっかり経験化することに大いに関心を抱いているからである。
がんばった後であれば、結果は野となれ山となれである。
インターンシップ編はこれで終わります。